亡くなった方の戸籍謄本は、
その方の死亡の事実を裏付ける資料として
必要になりますが、それだけではありません。
亡くなった方の子は、亡くなった方の相続人です。
通常、子は出生後、親の戸籍謄本に記録されます。
そこで、亡くなった方の戸籍謄本は、
その相続の関係を裏付けるためにも必要です。
もっとも、相続登記に際して必要とされる
亡くなった方の戸籍謄本とは、
一部の例外的な場合を除き、
通常、1通だけでは足りません 。
基本的には、亡くなった方の
出生から死亡に至る全過程を記録する、
過去に遡った全ての戸籍謄本が
各1通(計数通)必要です。
戸籍謄本は、何十年か毎にこれまで複数回
書式の変更(戸籍の改製)が行われています。
平成から令和の間の直近の改製によって、
現在の電算化された横書のものになりました。
戸籍が改製される際、改製「前」の戸籍謄本に
記録されていた全ての情報が改製「後」のものに
引き継がれるわけではありません。
このことは、本籍を変更する転籍でも共通です。
例えば、亡くなった方の改製「前」の戸籍謄本に
亡くなった方の子が記録されていたとしても、
改製「前」に結婚等で他の戸籍に移っている場合、
その方は改製「後」の戸籍謄本には記録されません。
そこで、亡くなった方の相続人として、
・子がいるのか、
・いるとするとそれは誰なのか、
・他に子は存在しないのか、
これらの事実を裏付ける資料として
改製や転籍「前」の戸籍謄本も必要になるわけです。
そして、親の出生前にその子が生まれることは
あり得ないので、他に子は存在しないことを
裏付けるため、基本的には、亡くなった方の
出生以降の全ての戸籍謄本が必要です。
ちなみに、昔の戸籍謄本は手書きのものが多く、
ほぼ読めない字で書かれたものも珍しくありません。